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川嶋みどり(日本看護大学名誉教授)

川嶋みどりは、看護師歴74年、常に臨床での看護実践に軸足を置き、現在も看護教育・研究に携わる一方で、看護師たちと交流しながら、語り,書き続けている立場から述べます。

5月、全国で重症者が第3波を超えて過去最大になり関西の病院では、いのちのトリアージの危機が報じられていた頃、都内大学病院の看護師から、「もう駄目、助けて下さい!」との悲鳴に似た声が寄せられた。彼女は、都内大学病院の中堅看護師で、自分の仕事を愛し、ほこりを持って働く女性であり、昨年のかなり早い時期から、COVID-19病棟で働いていた。その彼女が「今日まで頑張り続けてきたけど、重症者も増える一方でスタッフは疲れきっています。“うつ”になったり退職を選ぶ人もいて、人手不足もピークです。看護大好きで今日まで続けて来たけど、もう無理です」と。

まさに、オリンピック大会組織委員会から日本看護協会への看護師500人派遣要請が報道されたタイミングのことであった。

看護師らの働く環境、労働条件の厳しさは今に始まったことではないが、COVID-19感染拡大により、その程度はいっそう高まっている。たとえば、ICU内の看護師らは、PPE(個人防護具)着用の下は汗だくで、のどが渇いても飲水もできずトイレもままならない状況で、。医師がグリーンゾーンに退出後も、彼らは、最低4時間、時には7~8時間もレッドゾーン内に滞在し救命処置と患者ケアのほか、時に通常業務以外の仕事も行っている。

ICU以外の病棟でも、看護師らは覚悟を定めて自己の職務を忠実に果たす努力を重ねてきた。家族への感染を恐れ自宅にも帰れず、たまに帰宅しても幼い子どもも抱けぬ辛さ。夜遅くまで働き、病院の仮眠室か自費でホテルに寝泊まりする看護師も。

医療逼迫状況下の医療現場の深刻さは、あるCOVID-19病棟の看護師の自死という痛ましい事実を発信したSNSからも想像できる。詳細は省くが、これに対する800を超えるコメントの殆どが、遂に死者が出たことへの衝撃と悼みの言葉、そしてここまで追い詰めた無策な政権への怒りであった。5233ものシェア数の多さが、医療現場の過酷な実態への人々の関心の強さを示していると思われる。

私たち看護師は、二度と同様の犠牲者を出さないだけではなく、医療の受け手になる可能性を持った全ての人たちの生命を守る上からも、東京オリンピック・パラリンピック開催強行に強く抗議し、その中止を心から願います。

Midori.Khttps://heiwa-inochi.sakuraweb.com/wp-content/uploads/2021/07/Midori.K.pdf

My name is Midori Kawashima. I have been a nurse for 74 years and have always focused on clinical nursing practice. I am still been involved in nursing education and research. While communicating with nurses I keep on talking and writing about my experiences.

In May, when Japan was hit by the third wave of COVID-19, the number of severely ill people nationwide reached a record high, and hospitals in the Kansai region reported a life-threatening triage crisis. A nurse at a university hospital in Tokyo cried out to me: “I can’t take it anymore. Please help me!”

She is a mid-career nurse, a woman who loves her job, works with pride, and had been working in a COVID-19 ward since early last year. She said, “I’ve been working hard until today, but the staff is exhausted with the increasing number of severely ill patients. Some of them are depressed or choosing to quit, and the manpower shortage is at its peak. I love nursing and I’ve been doing it for a long time, but I can’t do it anymore.”

This was the same time that the media reported the news that the Organizing Committee of the Olympics was requesting the Japan Nurses Association to dispatch 500 nurses.

The work environment and conditions for nurses has always been difficult, but it became harder and harder with the spread of COVID-19. For example, nurses in the ICU are soaked in their own sweat under their PPE, and cannot even break to drink water or use the toilet. Even after the doctors leave for the green zone, they have to stay in the red zone for at least four hours, sometimes seven to eight hours, providing life-saving treatment and patient care, and sometimes doing other work beyond their normal duties.

Even in the wards other than the ICU, nurses have made an effort to fulfill their duties faithfully. They are not allowed to go home for fear of infecting their families, and when they do come home, they cannot even hold their young children. Some nurses work late and sleep in the hospital’s nap room or in a hotel at their own expense.

The seriousness of the situation in the medical field can be imagined from the social networking site that reported the tragic suicide of a nurse in a COVID-19 ward. I don’t speak in detail, but most of the more than 800 comments on the post were words of shock and mourning for the death, and anger at the inept government for pushing the situation to this point. 5,233 shares indicate the strength of people’s interest in the harsh reality of the medical field.

We nurses strongly protest the forced Tokyo Olympics and Paralympics and sincerely hope that the events will be cancelled, not only to prevent similar incidents from happening again, but also to protect the lives of all potential recipients of medical care. 2021.7.10 Midori Kawashima: Honorary Professor, Japanese Red Cross College of Nursing

Midori.K.英文 https://heiwa-inochi.sakuraweb.com/wp-content/uploads/2021/07/5ba1cecb8172d926de18c50868ced0c1.pdf

2020.11.3 国会前集会「11・3 大行動」

11_3憲法集会チラシ  2020.11.3救護班

コロナ禍で大規模集会が開かれずにいましたが、紅葉が散る国会前に、現政権に対する大きな異議の声を上げるべく、久しぶり3000人の人が集まり、当会からも救護班として数名が参加しました。共同代表の伊藤がスピーチをしました。全文を掲載させていただきます。

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「いのちと暮らしを脅かす安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会」の共同代表をしています、花の谷クリニック内科医師の伊藤真美と申します。

今年の年明けから、予想もしなかった新型コロナ感染症が世界で広がり、忍び寄る感染への危機対応に神経を集中させ、限られた時間で医療者として感染対策を講じて過ぎた数か月は怒濤の様な時間でもありました。

しかし、幸い日本社会は非常事態宣言解除後、やや平静をとりもどしています。医師として、科学的根拠に従い、新しい感染症に対して向き合うことは、これまで取り組んできた医療業務と本質は変わらないことなのだ、と落ち着いて言える状況になりました。医療の基礎研究の分野は、医師にとっても専門分野以外は理解が難しいことだらけですが、臨床分野で、世界の最新の知見を得ることは、この時代それほど難しいことではありません。すぐれた専門分野の先達から学ぶことができるのです。新型コロナ感染症についても、半年以上が過ぎるなかで多くの知見が明らかになり、私たち医療者は、新型コロナ感染に対して現時点で取り得る最良の対処方法を、ある程度共通認識として持つことができるようになりました。

ただ、医療は医療のみで完結はできず、特にパンデミックとなった感染症は、社会保障制度、経済政策と密に繋がっています。人々のいのちと暮らしを支えていくためには、受けられる医療が、経済格差で左右されてはなりません。そして医療は人権を守っていくことでもあるのです。そのためには、社会全体を統括するしっかりしたリーダーシップを発揮する政治が求められます。

自助・自立とは「支えを受けずに生きること」ではなく、「安心して生きるための支えを持つこと」だと、私たちの仲間が言いました。そうなのです。自助・自立は、社会のなかで人の手を借りずに成り立たせることではなく、人の手を借りて成り立つことなのです。体やこころに不自由なところや弱いところがあっても、手助けがあれば自立できるのです。

例えば、車椅子移動であっても、人工呼吸器をつけていても、自助・自立はできるのです。そのために公助があるのです。自助・自立のために、まず公助が大事なのです。

菅義偉さんは言いました。「まず自分でできることは自分でやる、自分でできなくなったらまずは家族とかあるいは地域で支えてもらう、そしてそれでもダメであればそれは必ず国が責任を持って守ってくれる。そうした信頼のある国づくりというものを行っていきたいと思います」と。先ず自助があり、そして共助が有り、それでダメならば公助の出動、それが政治であると。何を言っているのかと思います。小学校から学び治せと言いたいです。

 

今、新型コロナ感染は世界では第2波の到来に見舞われて、再び全土でのロックダウンに踏み切らざるを得ない国のニュースが続いています。昨日11月2日で、世界の累計感染者数は4650万人を超え、累計死者数は120万人に達しました。日本国内の感染者数も10万人を超え、死者数は1788人です。

冬に向かい、ウイルス感染は拡大することが予想され、すでに日本でも感染数が増加傾向です。

にもかかわらず、政府は、総予算1.7兆円の 「Go Toキャンペーン」の実施に前のめりです。 予算約1.1兆円の「Go To Travelキャンペーン」を7月に実施したのに引き続き、「Go To Eatキャンペーン」を10月1日より実施しました。そしてなんと、イベントなどのエンターテインメントを補助する 「Go To Eventキャンペーン」を10月29日よりとうとうスタートしてしまいました。経済産業省のホームページには、[Go To Eventで「また出会える喜び」を]の文字が躍ります。これが「再び出会えない悲しみ」に変わらないことを祈るしかありません。

もちろん、経済の安定は極めて重要です。しかしやるべきことは先にあります。

サージカルマスクに続き、今は医療や介護の現場では必須の婦プラスチックグローブの値段が高騰しています。全く日本国内で製造しておらず、輸入に頼ってきたためです。アベノマスクに466億円かけるのでなく、医療や介護の必需品を、しっかり国内生産することに、先ず政府が取り組むことも公助の一つと考えます。また、今後必要にせまられるかもしれない人工呼吸器の製造だって、日本の技術をもってすれば、容易に増産が可能です。

さて、安倍内閣が、憲法解釈を歪めて強行に成立させた安全保障関連法の成立させた2015年、この国会前には、日本の国の未来を案ずる多くの人々が集まっていました。私は、50歳をすぎてはじめて、デモというものに参加したひとりです。医師と言う仕事に没頭してきたそれまでの私の生活に、政治を政治家たちだけにまかせておいてはいけないという危機感がめばえ、この国会前に足繁く通う時期があり、5年間安倍政権でなされたことに翻弄され、その危機感は菅政権になってから、今はファシズム前夜でさえあることが現実のものとなる危機感として、重くのしかかってきています。

小泉政権以降、医療保険の財源は実質年々縮小されて、医療の現場はギリギリの人員で、医療従事者のプロフェッショナリズムに基づく働き方で国民皆保険制度を守ってきました。介護現場も同様です。驚くべき低賃金であるにもかかわらず、介護職の献身的取り組みにより、介護保険サービスがギリギリ守られてきました。しかし、新型コロナ感染の拡大と共に生きる社会を支える余力はもうありません。

いのちを蔑ろにしないでください。

医療介護従事者に対する、薄っぺらな感謝のパーフォーマンスも言葉もいりません。私たちが納めた税金を、いのちを守る医療、暮らしを支える介護、人権を守る福祉に返してください。

このコロナ禍でみえてきたのは、世界はこの地球という惑星のなかで、本当に一つに繋がっているという実感でした。このことを肝に銘じて、国家の枠をこえて人が人として繋がることを大事にすること、このことがこれからの未来を考える上で大きな希望となる、ということを最後に申し述べて、私からのメッセージを終わりたいと思います。                      2020年11月3日

2020.9.21 オスロでがんと闘って

2020.9.21オスロ講演会

おかげさまで、医療の受け手にも、医療従事者にとっても、もっと安心を持つことができる医療や社会のあり方について考えるよい時間となりました。
質疑応答でも有意義なご意見をいただき、日本の医療を見つめ直す大きな機会となりました。

当日の動画をお送り致します。
2時間にわたりますが、お時間のあるとき、ご視聴頂ければと思います。

2020.5.3 憲法記念日「おうちでデモろう!」

プラカードを持った写真とともに、以下のハッシュタグをつけて、
Twitter,FaceBook,Instagram に投稿して、ご参加ください。

#0503憲法集会
#stayhome
#医療崩壊
#介護崩壊

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以下、ネットプリントできます。

サイズ:A3
有効期限:2020/05/07 23:59:59

「5月3日はstayhomeで 憲法を守ろう」
予約番号:30900716
file名 : 2020_53kenpoumamoro_20200430233519473

「5月3日は憲法記念日 うちでデモろう」
予約番号:65094853
file名 : 2020_53demohome_20200430233432684

「止めろ!医療崩壊 止めろ!介護崩壊」
予約番号:99032828
file名 : 2020_8stop2_20200430233403901

「最大のピンチを最大のチャンスに」
予約番号:04071622
file名 : 2020_7pinch_chance_20200430233330601

「守ろう 平和・いのち 守ろう 医療・介護」
予約番号:98850622
file名 : 2020_6mamorou4_20200430233303676

「離れていても憲法守る思い伝わる」
予約番号:05742789
file名 : 2020_4hanareteitemo_20200430233237704
「守れ!医療・介護・私たちの生活」
予約番号:50592887
file名 : 2020_3mamore3_20200430233158977

「科学的な感染対策のためにも 守ろう 言論の自由」
予約番号:49682193
file名 : 2020_2genron_20200430233133225

「忖度・改憲は、医療崩壊の始まり」
予約番号:52334214
file名 : 2020_1sontaku_20200430233046594