2016.11.26「健康格差社会にどう向き合うか」ご報告③

近藤さん、橋本さんの講演に続いて、指定発言者からのお話です。

鈴木伸さん(寿共同診療所医師)

五十嵐逸美さん(かにた婦人の村施設長)

星野陽子さん(医療法人健和会看護部長)

宇佐美宏さん(全国保険医団体連合会歯科代表)

渕上隆さん(弁護士・東京中央法律事務所)

以上5名の方からお話いただきました。

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以下は、宇佐美宏さんの資料です。

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以下は星野陽子さんのお話です。

わたくしは医療法人健和会の看護部長をしています星野と申します。

私は戦争が健康を破壊する最悪の社会的要因であることから、命を守る現場で働く看護師の立場から戦争に反対する視点で発言させていただきたいと思います。

今年は憲法が公布され70年目を迎えました。7月に行われた参議院選挙では、改憲派が3分の2を超える結果となり、安倍首相は改憲に意欲を示しています。先日川嶋先生や南 弘子先生たち看護の有識者たちが看護未来塾を旗揚げしました。その設立趣意書に私は感動し入会しました。そこには次のように書かれていました。「私たちは、人々のいのちと暮らしに寄り添う看護専門職有志の集まりです。

今この国で起こっている様々な出来事、たとえば、言論の自由を制限し戦争を可能にしうる特定秘密保護法や安全保障関連法の制定など、平和や安全を脅かすような政策の流れに対して強い危機感を持って集まりました。そして、個々の事象をしっかりと見据え、声を上げ、行動していくために「看護未来塾」を設立することにしました。 「看護未来塾」設立の背景には次のような危機感があります。

第一に、戦後70年を経て、過去の戦争体験が風化しつつある中、平和のよりどころとなる憲法を変え、表現・言論の自由を制限し、軍事偏重の政策、軍事/防衛研究の拡大に向かってしまうのではないかという危機感です。あの戦争では、多くの先輩看護職者が人間の尊厳を否定する戦争の不条理さに直面し、悲惨な数々の体験をしました。今を生きる看護職者は、その歴史の教訓をもとに平和と基本的人権と健康を守るために行動しなくてはいけません。」川嶋先生の働きかけも大きかったと思いますが、肩書を外した有識者の先生たちが縦横無尽に率直に発言した中身に 今立ち上がるとき・・そう強く思われたのだと感じました。

この間政府は、国民の反対を押し切って強行採決した安全法制関連二法を施行に移し、内戦の続いている南スーダンに、PKOの部隊として駆けつけ警護という新たな任務を担わせ、派遣しようとしています。9月21日に防衛省が、有事の際最前線で負傷した自衛隊員の救命率を向上させるため、医師免許がない隊員にも一部の医療行為を可能にし、専門教育を受けた隊員を「第一線救護衛生員」として、部隊に配置することを発表しました。

その医療行為とは、気道の確保のための気管切開。緊張性気胸に対する胸腔穿刺。出血性ショックに対する骨髄などへの輸液投与。痛みを緩和するための鎮痛剤投与。感染症予防のための抗生剤投与です。この5つの医療行為を救急救命士と准看護師に行わせることを想定しています。

10月11日稲田防衛大臣は、南スーダンのPKO活動について「仮に駆けつけ警護の任務を負わせる場合、専門的な教育を受けた衛生要員が救急車に同乗し応急処置を行う」と答弁し、戦闘ありきの発言がありました。本当に恐ろしいことだと思います。

私たち看護・介護現場で働くものは、日々命と向き合い、命の重さを知っています。命を最も軽く扱う行為が戦争です。かつて従軍看護師として3度戦場に行った花田ミキさん(享年91歳)は遺言で「人と人が殺し合う戦争の愚かさとむなしさを骨の髄まで知っています。」と書き「戦争をしないために、巻き込まれないために盾として、平和憲法の第9条を守ってくださるように心から祈ります」と訴えていました。

今、日赤の看護学校の学生たちは富士演習場等での銃撃訓練の見学、演習等にピクニック気分で参加するそうです。川嶋先生はいつも私たちに次のように語ります。「戦争はすべての人から希望や夢を捨てさせ、生きていく権利を強制的に奪い、殺人を合法化する。看護と戦争は相いれない。私は「戦争反対」を信念とし、教え子に教えてきた。政府が再び同じ道に国民を引きずりこもうとしている今、「戦争は絶対だめと訴え続けていきたい。」先生はこのように訴え続けています。

「歴史の真実に学び2度と戦争を起こしてはいけない」という看護の先輩たちのメッセージを将来にわたって語り継ぐこと、看護師を再び戦場に送らないことが今を生きる私たちの務めだと私も確信しています。