菅政権に対する抗議声明
私たちは、2015 年 9 月 19 日に憲法解釈が歪められて安全保障関連法が成立したことを契機に集まった医療・介護・福祉に携わる者たちの会です。 私たちは大きな危機感をもって、次の2 点について抗議します。
1) 日本学術会議任命拒否問題
2) 新型コロナ感染対策
1) 学術会議会員 6 名の任命拒否が明らかになった 10 月 1 日からわずか1 か月の時点(10/30)で、670学協会や大学・大学人をはじめ、自然保護団体や消費者団体、映画人や演劇人、作家、ジャーナリストなど幅広い団体から任命拒否に抗議する声明が出され、今なお各界から抗議の声が続いている。
私たちは、菅政権が人事介入の強引な手法により、また政権によって情報操作されたマスメディアなどを通じて、政権に対して抗議をすることが憚られる空気が日本社会に醸成されつつあるばかりか、国民の言論の自由を脅かし、民主主義の土台さえ揺らぎ兼ねないことを大変危惧するものである。従って、私たち医療•介護•福祉に携わる者も、上記団体や個人らと抗議の意思を同じくするものであり、菅政権が任命拒否を撤回するまで、抗議し続けることを表明する。
2) 冬場を迎えて新型コロナ感染の日本における拡大は、大変危険な領域に突入しつつあるが、現在のような勢いで感染拡大が続けば、欧州ように医療がひっ迫し、ロックダウンを余儀なくされることが予測される。だが、菅政権は、医療専門家の声に耳を傾けず、国として当然なすべきリスク回避の方策を打ち出そうとしない。
感染を抑制する政策と経済を回復する政策は相反するものではない。現時点においては、コロナ対策こそ、経済再生の大前提である。適切な時期に適切な感染抑制策をとることで、住民の健康を守りつつ安心して消費行動がとれるようにすることこそが経済の回復に必要な政策である。関連事業者及び従業者の生活を保障する緊急かつ速やかな救済措置を実施し、 GoTo キャンペーンは即刻一旦中止することを求める。
予防効果が明らかでない「マスク会食」「食事用フェースマスク」などの推奨で、感染拡大を個人の責任に帰するようなことはすべきでない。私たちは、菅政権の新型コロナ対策に対しても、厳重抗議を表明する。
なお、科学的根拠のない誤った医療情報が流布されている現状を憂慮し、現在分かっている医療的知見を以下に示す。根拠となる論文も英文であるがリンクにしたので、参考にしていただきたい。
・新型コロナ感染は無症状感染や軽症者から感染が拡大する。
・感染防御目的の保護隔離のためには偽陽性率の少ない PCR 検査を十分に 活用することが大切である。
https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560- 7917.ES.2020.25.32.2001483?crawler=true
・新型コロナに対する予防ワクチンは期待できるが、安全面の確認が必要であり、国民に広く接種するのには時間がかかる。来年前半までに解決すると言う話ではない。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0264410X20309130
・新型コロナの致死率はインフルエンザ感染よりかなり大きい。コロナ後遺症の全貌も明らかにされていない中であり、感染の予防には最大限の対策が必要である。
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article- abstract/2766121
・最大限の警戒が必要であることは、世界のパンデミックの状況を知れば明らかである。ニュージーランドや台湾のような成功モデルから学び、流行抑制ウイルス除去戦略を採用すべきである。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2025203
2020年11月23日
いのちと暮らしを脅かす安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会」 共同代表
天羽道子 (かにた婦人の村 名誉村長)
伊藤真美 (花の谷クリニック 院長)
川島みどり(日本赤十字看護大学名誉教授)
小島美里 (NPO法人暮らしネット・えん 代表)
沢田貴志 (港町診療所 所長)
高岡直子 (大田病院 在宅医療課 医長)
本田宏 (外科医・NPO法人医療制度研究会 副理事長)
医療的知見の提示: 徳田安春 (群星沖縄臨床研修センター長)
事務局 問い合わせ先: 090-3312-7607